雅楽の楽器 篳篥(ひちりき)とリード

雅楽の楽器 篳篥(ひちりき)とリード

昨年令和4年秋より雅楽の篳篥の練習をスタートしました。

正確に言うと、約5年振りに再開するという形です。

一度は、雅楽に憧れよしやってみようと思い始めたにもかかわらず

唱歌を上手く歌えず、唱歌の大切さも理解できないうちに挫折をしました。

今回は、品川神社の禰宜さんの神前式を今年令和5年の9月末に控え、

よし自分で雅楽を奏でることにより祝福をしようと思い、再度雅楽の篳篥の箱を開けました。

今日6月16日で、8カ月が経ちました。

この8カ月で、篳篥の楽しさを感じております。

まだまだ、上手くは演奏できませんが、ここで今までの学んできたことを

まとめてみようと4月に本管を購入したことをきっかけに、リードに

挑戦していることをまとめてみました。

雅楽の教科書によると、篳篥は、雅楽の中の分類からみると、

大陸系の楽舞、その中の中国大陸系、唐楽の管弦や舞楽の中の吹き物の一つ。

三管と言われる、笙、篳篥、横笛(龍笛)の一つ。縦笛が、篳篥となります。

篳篥は、竹製で9つの指孔(ゆびあな)があります。

指孔と指孔の間の盛り上がっている黒い部分は、樺(桜の樹皮を細く切ったもの)

や籐(とう)を巻いて漆で固めています。

これに盧舌(ろぜつ)というリードを差し込んで、篳篥を演奏します。

篳篥は、本体が約18cm、盧舌が6cmというバランスの楽器です。

篳篥は、主旋律を演奏します。

先般から、私の篳篥の先生より盧舌の作成を教えてもらっています。

盧舌の原材料は、葦(あし)とも葦簀(よしず、葭簀)の「よし」とも呼ばれる

植物から作ります。

葦を「あし」と読むのか「よし」と読むのかと調べていると、

「葦」は、奈良時代までは、「アシ」と発音していたが、

平安時代以降、「アシ」は「悪し」を連想させるのでよくないと

されて「ヨシ」とも、発音するようになったと書いてあり、すごく

納得しました!!

そして、今回遂に! 葦の材料を、葦農家さんまで、篳篥の先生に同行して参りました。

その際に、農家さんのご厚意で葦が豊かに生えている、葦を収穫する場所まで連れて

行って頂きました。感激致しました!

辺り一面が、『葦』なのです。 『古事記』に出て来る! まさに、日本の国の表現。

「豊葦原の千秋長五百秋の水穂国」(とよあしはらのちあきながいおあきのみずほのくに)『日本書紀』には「豊葦原千五百秋瑞穂の地」(とよあしはらのちいおあきのみずほのくに)

我が国、日本国の『美称』とも言われる、『豊葦原千五百秋瑞穗国』

が、目の前に広がっているのです!!

興奮を止められませんでした!!

感動しました。

葦のこれほど、緑豊かに広がる場所が、これほど美しいのか!と感動しました。

この葦を刈り取りするには、その指定農家さんでないと駄目で、

誰もが勝手に収穫してはならないのです。

今回の農家さんのところには、昨年末に収穫した葦が、ありました。

農家さんは、これらを編み込み、葭簀(よしず)に加工されて、

商品として販売されています。まさにこれから夏に向かい出荷で忙しくなるところでした。

葭簀には、少し適さない、太い葦を分けて頂きます。

直径が、12mmぐらいの葦を探すのです。

3~4mある葦の束を台の上にて、紐をほどき、束から一本一本、その直径を見ながら

選別します。

300~400本を選別する目標として、何束も見せて頂きました。

選別した葦を最後は、車に乗せて先生が持って帰る車に乗せることが出来るサイズに

切って、頂きます。

この葦を切る大きな、カッターがまた凄かった。かなり葦も堅いのですね。

重労働と思いました。

しかし、あの葦原を見せて頂いた時、日本人のDNAが騒ぎました。

感動しました。

ここからは、その葦を今度は先生ご指導の元、篳篥のリード、盧舌作りになります。

4m程ある葦を車に乗せる段階で、1m50cmぐらいに切って頂き、

今度は、その1.5mから約65mmのリード盧舌を作成するのです。

丸く、表面が綺麗な色の部分を小さいのこぎりで、切り出します。

切り出したものを、今度は、細長いブラシを葦の中に入れて、リード盧舌の中を

綺麗にします。

ちなみに葦に良く似た植物で、同じく水辺に生息する荻(おぎ)は、中が空洞ではなく、

リード盧舌には、適していないらしいです。

このような条件で、切るとあの約4mの葦から、65mmのリード盧舌は、

2~3本程しか採れないとのことです。

すごいですね!

次に、選びだし、切り出された、65mmの葦の筒を

半分ぐらい、筒の外側の小刀で削ります。外側の固い皮の部分を上手く

削り取ります。

削りとった部分に、和紙、紙を水ノリで巻き付けます。

そして、1日、乾かす。

紙をのりで付け、乾かした65mmのリード盧舌を今度は、雅楽のリードとして

息を入れるところ、つまり演奏者の口が当たる部分を拉ぐ(ひしぐ)作業に入ります。

拉ぐには、まず、筒状になっているものの、紙を巻いていない方の口に

栓をします。そして、紙の方を水につけて、湿らせます。

カセットコンロに火を付けて、拉ぐためのペンチのような鉄の大きなはさみを

温めます。

温まり、鉄のはさみに水滴を垂らすと「ジュー」となったら適温として、

その鉄のはさみで、栓をした葦の筒の紙の部分、先程、水で湿らせた部分を

はさみ込み、火にかけます。 筒が、焦げないように、火の上の部分で、

葦の筒を回し、あぶります。

あまり手の力を入れなくても、葦は、はさまれた通りに、拉がれます。

紙の部分が、口の部分ひっつくと、完成です。

この拉ぐのが、かなり工程として、難しいです。焦がすことなく、拉ぐ。

何個か拉ぎ、成功した葦を今度は、リード盧舌として作成します。

先程の水ノリで巻いた紙を外し、

リード盧舌の部分を今度は、さらに小刀で削り取り、篳篥にセットする為の

隙間を埋めるための、和紙を巻く部分、また息を吹き込む口の部分を

注意をはらいながら、削り取っていきます。

最後のこの仕上げが、超難関です!!

しかし、完成した自分の手製の盧舌リードを使い、篳篥を奏でるのは、

最高に心地よいのです。

ありがとうございました。